昭和の勢いと情熱が詰まった「下品な寅さん」――映画『トラック野郎』シリーズレビュー
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『トラック野郎』シリーズは、1970年代から1980年代にかけて制作された全10作の映画で、菅原文太さん演じる“星 桃次郎(一番星)”と愛川欽也さん演じる“松下 金太郎(やもめのジョナサン)”の軽妙な掛け合いが大人気を博しました。この映画を一言で表すならば、「下品な寅さん」。しかし、その下品さが昭和の勢いをそのまま体現しており、むしろ爽快感をもたらす不思議な魅力を持っています。
昭和の空気感たっぷり
本作の魅力の一つは、昭和40年代から50年代の日本の街並みや車、風俗が色濃く描かれている点です。例えば、劇中に登場するデコレーショントラック「一番星号」は、シリーズが進むにつれてその装飾がより派手で大胆になり、昭和のデコトラ文化の象徴とも言える存在となっています。当時の車やトラックの懐かしい姿を目にするだけでも、タイムスリップしたような気分に浸れることでしょう。
コンプラ無視の破天荒な魅力
「明るいお色気シーン」や「ちょっと待って、それいいの?」と思わせる無茶苦茶な展開も、本シリーズならでは。現代のコンプライアンス感覚ではとても実現できないような大胆なユーモアが随所に散りばめられていますが、そこを気にせず勢いで突っ走る物語展開がクセになります。
トラックアクションとキャラクターの魅力
このシリーズを語るうえで外せないのが、豪快なトラックのカーアクション。中でも、一番星号と警察のパトカーが繰り広げるカーバトルは迫力満点です。狭い山道や高速道路での追走劇では、一番星号の華麗なハンドリングと機転が炸裂し、観る者をハラハラさせつつも痛快な気分にさせます。さらに、主人公・桃次郎のコミカルな変わり身の早さも見どころのひとつ。マドンナに出会ったとたん、彼女の趣味や好みに合わせようと必死になる姿には思わず笑ってしまいます。
そんな桃次郎を演じる菅原文太さんは、『仁義なき戦い』シリーズで見せたシリアスな演技とは一味違い、コミカルで親しみやすい姿を存分に披露しています。
映画ならではの贅沢な見どころ
「シリーズごとに変わる一番星号の飾りや荷台の絵」「途中から装備されるバックモニター」など、トラック好きにはたまらないこだわりのディテールも見逃せません。また、ゲスト出演する豪華キャストや当時人気のお笑い芸人、思い出深い昭和の名優たちが登場するのもシリーズの醍醐味。画面に映る彼らの姿に、「懐かしいな」「こんなところにあの人が!」と感慨深くなる場面も多いでしょう。
王道パターンとガチャガチャした進行
物語は、「マドンナに一目ぼれして奮闘→ライバルとの喧嘩から協力関係に→荷物やマドンナを乗せて爆走」という定番パターンで進行。そこにジョナサンやゲストキャラのエピソードが絡み、ドタバタしながらもラストまで勢いよく突っ走ります。この雑多でガチャガチャした感じこそが、本シリーズの醍醐味です。
子どもも大人も楽しめる娯楽映画
私自身、子どもの頃に『宇宙戦艦ヤマト』の映画を見に行った際、同時上映されていた『トラック野郎』を観て、ヤマト以上に喜んだ記憶があります。特に、谷をトラックが飛び越えるシーンは大興奮で、子ども心に鮮烈に刻まれています。このように、子どもには派手なアクション、大人にはユーモアと人情味が訴求する、幅広い世代に楽しめるシリーズです。
まとめ
『トラック野郎』シリーズは、下品さも勢いも昭和らしさも全部ひっくるめて楽しむ映画です。その雑多で力強い魅力が、観る者を笑わせ、泣かせ、そして懐かしさで心を満たしてくれます。デコトラ文化や昭和の雰囲気が好きな方には、ぜひ一度観てほしい名作シリーズです!
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